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メッセージ | 准教授/花井 潮

手探りだった仕事と子育ての両立

私は2年間の初期研修を経て、「手術の結果が目に見えるのが面白い」という単純な理由で形成外科に入局しました。将来自分が、この「目に見える結果」にどれほど一喜一憂させられるかなど、考えもしませんでした。

 

院内保育所が開設された好タイミングで、息子が生まれました。当時、子供のいる女性医師は自分一人だったので、ライフワークバランスが掴めず、手探り状態でした。仕事と子育てどちらも中途半端で不満、それでいて周囲には十分迷惑をかけている事実・・・というジレンマに陥っていました。最近は当科にも女性医師が増え、医局をあげて仕事と子育ての両立を実現しています。まだ詰めるべき課題はありますが、子育てへの理解のある医局であることは確かです。

PROFILE

准教授/花井 潮

[出身大学:東海大学]

より自然な形態を追究する「こだわり」

私の専門領域は頭蓋顎顔面外科で、主に小児の先天異常(口唇口蓋裂、小耳症などの耳介変形)や、顎変形症、顔面外傷の手術をしています。多くの分野で「機能」と「整容」は全く別のものとして扱われますが、顎顔面外科領域では「整容は顔面の機能」とされ、求められる結果は近年格段にレベルアップしています。患者さんが結果に喜んでくれると、私も天にも舞い上がる気分になりますが、先天異常の患者さんたちの多くは診察室ではとても静かです。多くを語ったりクレームを言ったりすることも滅多にありません。外勤先の美容クリニックの患者さんたちは、「ここをこうしたい!」と細かく説明して(無理難題を容赦なく突きつけて)くれるのですが・・。

 

息子の昨年の学校課題図書になった『WONDER』というノンフィクション作品の中に、Treacher-Collins syndromeの主人公と親友のこんなやりとりがあります。「ずっとこの顔のままなの?整形手術とかは受けないの?」 「あのさ、この顔は整形手術後の顔なんだよ」 「そりゃ、おまえ医者を訴えろよ!」 手術を重ね、徐々に整容も改善して、医者には順調だと言われても、患者自身の思い描く「社会で無理なく生きられる姿」には、やはりまだまだ遠いのです。その事を患者さんたちは病院で教えてはくれません。残念ながら、先天異常の変形を魔法のように治す術式は存在しません。それでも我々形成外科医がこだわりを持ち続け、より自然な形態を追究することで道は開けると考えています。

患者さんの喜びを共有できる形成外科医

近年の口唇口蓋裂治療では、顔面の成長が完了する思春期に、隆鼻術や上下顎骨切り術を積極的に行うことで、顔貌が著しく改善し、自信をもって社会に出てゆく患者さんが増えています。「ついでにここも治したい」という、治療に前向きな要求がでてきたら本望です。

 

形成外科は、患者の社会進出を後押しするという大切な役割を担っています。患者の喜びを(苦悩も)共有できる深い分野です。一緒に取り組んでくれる熱意ある先生をお待ちしています。